次へ→

中小企業における粉飾決算の見抜き方

粉飾額が少ない場合


 さて、ここで貸借対照表に不良資産が膨らんでいく状況について、改めて考えたいと思います。


(A:粉飾額が少ない場合)

 たとえば、この会社が毎期1百万円の赤字を5年間隠し続けて、逆に毎期僅かの利益を計上する黒字決算を行ったとします。
 そのためには毎期1百万円強の粉飾が必要なため、結果として5年間で5百万円くらいの不良資産を貸借対照表に計上する必要があります。

 この場合に、たとえば毎期1百万円強の仮払金を過大に計上し続けたとしましょう。
 結果として5年後の貸借対照表は、資産の内容が変わっていないのであれば、粉飾後で次のようになっているはずです。

   現金預金     10百万円
   売上債権     32 〃
   棚卸資産     19 〃
   有形固定資産  15 〃
   その他資産     9 〃          (5百万円くらいの過大な仮払金を含む)
  ---------------------------------
   (資産合計     85百万円)
  =================


 このような状況で、仮に5百万円くらい過大となっている仮払金の存在に気が付かなかったとしましょう。
 それでも特に大きな問題とはならないと思われます。
 なぜなら、売上高1億円規模の会社が5年間で5百万円程度赤字を出したからといって、まだまだ倒産するような事態にはほど遠いと考えられるからです。




    中小企業の財務分析セミナー Web版    次のページへ