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中小企業における粉飾決算の見抜き方

注意が必要な粉飾決算とは


 小さな粉飾に対しては、気が付かなくても特に大きな問題は発生しません。
 大きな粉飾に対しては気が付かないとまずいのですが、その場合であっても、仮払金等の過大計上によって粉飾が行われるようであれば、粉飾に気が付くことは簡単だと思います。

 さきほど作った貸借対照表を見ながら考えていただくとよく理解できると思いますが、大きな粉飾処理を、簡単に気が付かれないように行うためには、実は次の2つくらいしか方法がありません。

   @棚卸資産を用いた在庫の水増し

   A売上債権を用いた架空売上の計上


 これ以外の方法で大きな粉飾を行った場合には、貸借対照表上で不良資産が目立ってしまうため、比較的簡単に粉飾の事実がばれてしまいます。
 ですから、この2つの方法が非常によく使われる粉飾方法になっているのです。

 この2つの場合には、注意深くチェックを行わないと、多額の粉飾であるにもかかわらず、長期にわたって気が付かずに見過ごしてしまう可能性が高いといえます。

  逆に言えば、中小企業の財務分析において、注意を要する主な粉飾決算は、「在庫の水増しによる棚卸資産の過大計上」と、「架空売上による売上債権の過大計上」だけだといっても過言ではありません。
 それ以外の項目に不良資産を紛れ込ませようとしても、もともと金額が少ないため、比較的簡単に粉飾処理が把握できます。

 大変注意を要する、かつ多用される粉飾方法は、この2つです。
 まずは、この2つについて徹底的に理解してください。





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