中小企業の財務分析セミナー・トップ
財務分析セミナー(内容)
セミナー講師より はじめに
中小企業における収益力とは
中小企業における粉飾決算の見抜き方
財務分析の具体例
- ┣ 損をしたり儲かったりする会社の決算
- ┣ 赤字体質会社の決算書
- ┣ 在庫と売上債権の回転日数について
- ┣ 回転日数で検討する
- ┣ 在庫の水増しによる粉飾決算書
- ┣ 架空売上について
- ┗ 内訳明細書のチェック方法
中小企業の決算書を読みこなす
キャッシュフロー分析の基本
セミナー講師より さいごに
お問い合わせ
セミナー講師:石田昌宏
石田会計事務所代表
公認会計士
税理士(名古屋税理士会所属)
財務分析の具体例
損をしたり儲かったりする会社の決算
粉飾をすると不良資産が増えます。
ところが粉飾をした翌年度に、役員報酬の減額や実際の業績回復等によって、相当額の利益を計上できる状況になると、今度は不良資産を費用化して、利益を圧縮することになります。
不良資産を温存したまま、わざわざ相当額の利益を計上しても、法人税等の負担が大きくなるだけでもったいないと、多くの社長は考えるからです。
ですから、儲かったり損をしたりが繰り返される会社の場合には、損をした際に粉飾をして、儲かったときに粉飾を取り崩して、結果として毎期少額の利益を計上するケースが非常に目立ちます。
粉飾の結果として発生する不良資産は、増えたり減ったりします。
(税法上は、粉飾により発生した不良資産を取り崩しても、その分は取り崩した期の損金にはできないのですが、実務的には損金扱いしている事例をよく見かけます。)
たとえば、500万円の損をした年度には500万円程度の粉飾をして僅かな黒字決算を組み、翌年に500万円だけ利益がでると、今度は前年度に粉飾した500万円を取り崩して費用化し、僅かの黒字決算を組む。
結果として、粉飾で発生した不良資産は、500万円からゼロに戻ります。
さらに翌年度500万円の損をすると、再度500万円程度の粉飾をして僅かな黒字決算を組み、その翌年度に500万円の利益が出ると、再度粉飾を全額取り崩して、同じく僅かな黒字決算を組む。
結果として、粉飾によって発生する不良資産は、500万円に膨らんだ後にゼロに戻っています。
会社の本来の業績としては、赤字500万円と黒字500万円が交互に訪れたとしても、毎期の決算書は常に僅かの黒字決算を作成する。
その裏で不良資産を増やしたり減らしたりしている。
これが、儲かったり損をしたりしている中小企業で、よく見られる決算書のパターンです。
このような粉飾決算は、見つけることが非常に困難です。
しかし、見つけることができなくても、大きな問題ではありません。
なぜなら不良資産が大きく増えていかないということは、赤字の時があったとしても、その赤字に相当す
る黒字を計上した決算期もあるという証拠ですので、結局チャラになるからです。
赤字500万円→黒字500万円→赤字500万円→黒字500万円
という業績を
若干の黒字→若干の黒字→若干の黒字→若干の黒字
と勘違いしても、利益の平均値で見れば同じことです。
この程度の勘違いでは、財務分析の結果を大きく間違えるようなことにはなりません。
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