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財務分析の具体例

在庫と売上債権の回転日数について


 長期間のデータを利用するというポイントは説明しました。
 もう一つ大切なポイントがあります。
 それは金額ではなく比率を利用して分析するということです。

 たとえば、毎期売上高100百万円前後で推移している会社の在庫が、
  19→25→24→30→32→34
となっていれば、明らかに怪しい感じがします。

 しかし、売上高が
  100→115→130→145→160→175
となっている会社の在庫が
  19→25→24→30→32→34
といった具合に推移していたらどうでしょう。
 粉飾の可能性は低いように思われます。
 なぜなら売上高が増えれば、通常なら在庫も増えるからです。

 長期間のデータを並べて分析する際には、売上高の推移と合わせて考えることが大切です。
 それを簡単にするために、回転日数を用いると便利です。
 回転日数は、最初から売上高との比率を加味した数値だからです。

 在庫の回転日数は、何日分の在庫があるかを示す数値で具体的な算式は
   在庫の回転日数=在庫の金額/(売上高÷365日)
となります。(売上高の代わりに売上原価を用いることもあります)

 売上債権の回転日数は、何日分の売上債権があるかを示す数値で具体的な算式は
   売上債権の回転日数=売上債権の金額/(売上高÷365日)
となります。



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