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中小企業における粉飾決算の見抜き方

貸借対照表と損益計算書の関係


 さて、実際に貸借対照表に不良資産が膨らんでいく傾向は、どのように把握すればよいのでしょうか。
 損益計算書と貸借対照表の関係から考えてみましょう。

 たとえば売上高が1億円(100百万円)の会社があったとしましょう。
 月商は概ね8百万円です。
 このような会社の貸借対照表(資産の部)は、一般的には次のようになっています。

   現金預金     10百万円
   売上債権     32 〃
   棚卸資産     19 〃
   有形固定資産  15 〃
   その他資産     4 〃
  ------------------------------
  (資産合計     80百万円)
  ===============


 現金預金は、月商の8百万円以上は確保したいため、とりあえず10百万円。
 売上債権は、最終までの月数が4ヶ月として32百万円。
 棚卸資産は、在庫回転月数は3ヶ月として、それに原価率を乗じて19百万円。
  (この事例では仮に80%程度にしました。)
 有形固定資産は従業員10名程度に必要と思われる分として15百万円。
 その他資産は元々多額ではないことが多いため、とりあえず4百万円。

 資産合計は結果として売上高と比較的近い数字の80百万円
 これで一般的によく見かける、結構リアルな貸借対照表になったと思います。

 中小企業の場合には、少ない投下資本で売上を作ることが多いため、上場企業と比較すると、売上高に対する資産合計の比率が少なめになります。




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