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中小企業における収益力とは

さらに収益力がアップすると


 決算書にあらわれる数字の多くは、取引先等の相手があって、はじめて決まってくるものです。
 その中にあって、経営者が自分自身で決めることができる、つまり経営者の意志や判断が反映されやすい数字には、経営者一族に対する
  役員報酬
  地代家賃
  交際費
等があります。
 これらの数値については、経営者が会社の収益力等をどのように見ているかが強く反映されますので、キチンと把握しておくことが大切です。

 財務分析によって将来の収益力等を判断することはある程度可能ですが、所詮は過去のトレンド等から将来を予測しているだけに過ぎません。
 経営に当たる当事者としての社長が、会社の将来をどのように予測しているかを確認できれば、その情報は非常に大切な情報といえるでしょう。
 とはいっても、社長から直接将来の展望を聞いたところで、業績悪化が見込まれるにもかかわらず、対外的にはバラ色の将来展望を語る社長は少なくありません。

 直接聞かなくても、社長の予測は役員報酬の設定額等にあらわれてきます。
 役員報酬は
  定時株主総会以外のタイミングで金額の変更を行うと、税務上で不利益を被る
ことが多いため、定時株主総会時に変更するという実務が定着しています。
 直接聞く代わりに、あるいは直接聞いた内容を補完するために、定時株主総会において社長自身が決定した役員報酬や地代家賃等の額から、社長の本音を推測することが重要といえます。

 ところで、役員報酬をそれなりの金額をもらって、それでも会社の収益が多額となり、法人税等の負担が大きくなりそうな場合、中小企業ではどのような対応がなされるのでしょうか。
 一般的には二通りの対応が行われます。

  1)役員退職金や節税保険によって法人税等の課税回避を目指す
  2)そのまま利益を計上して、相当の法人税等を納付する




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