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中小企業における収益力とは

会社の収益力が後退する際に現れる兆候


 中小企業においては、儲かれば役員報酬をアップすることは、既に述べたとおりです。
 同様に、収益力が下がれば役員報酬は通常減額されます。
 これが会社の収益力が落ちてきたことを示す重要なシグナルです。

 会社が赤字の場合、法人税等の課税負担はほとんど生じません。
 仮に役員報酬を増額して会社の赤字幅を大きくしても、それ以上は課税負担の軽減が期待できないため、意味がありません。
 逆に役員報酬を減額すれば、個人としての所得税等が安くなります。
 ですから、会社が赤字になりそうなときには、赤字幅に合わせて役員報酬を減額し、所得税を節税することが選択される傾向にあります。

 一般的な財務分析では、たくさん儲かると決算書上の利益が大きくなり、儲けが減ると決算書上の利益も減少すると教えられます。
 しかし、中小企業においては、この見方はあまり通用しません。
 そのかわりに、儲かれば儲かるほど役員報酬額が大きくなり、儲けが減ると役員報酬額も減少すると覚えるのがよいでしょう。
 これが中小企業における決算書に現れやすい基本的なパターンだからです。

 「役員報酬額が増えている会社は儲かっている会社」
 「役員報酬額が減りはじめたら、業績が下がりはじめた証拠」

極めて簡単な分析方法ですが、非常に役に立つ方法です。



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