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中小企業における収益力とは

所得、税務上の繰越欠損金とは


 法人税等は、会社の決算書上の利益に対して、法人税率等を直接掛けて算出するわけではありません。
 決算書上の利益に対して、一定のルールに従って加算する金額と、減算する金額があり、それらを差引きした金額に法人税率をかけて算出します。
 法人税等を計算する際に、その元となる差引きされた金額のことを、所得といいます。

  所得 = 決算書上の当期純利益 + 加算金額 − 減算金額

 所得とは、税務上の利益といってもよいでしょう。
 加算する項目には、法人税、住民税、一定額以上の交際費、過大な役員報酬などがあります。
 減算する項目には、一定の受取配当金などがあります。

 この結果として所得がマイナスになることもあります。
 マイナスの所得のことを、税務上の欠損といいます。

 ところで、税務上の欠損は、法人税法上、7年まで将来に繰り越すことができるというルールになっています。
 7年間まで節税メリットを継続させることができるのです。
 繰り越される税務上の欠損を、税務上の繰越欠損金といいます。

 たとえば、所得金額にして毎期1,000万円の収益力がある会社において、1億円の役員退職金が計上されると、その期の税務上の赤字は9,000万円となります。

  1000万円−10,000万円=▲9,000万円

 その9,000万円が税務上の繰越欠損金となることで、その後の7年間は、計上される所得が9,000万円を超えるまで、法人税等がほとんどかからない状態になります。
 仮に翌年も所得が1,000万円になったとすると、法人税等はほとんどかからないまま、税務上の繰越欠損金が9,000万円から1,000万円引いた8,000円となり、その8,000万円がその後6年間繰り越されることになります。




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