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キャッシュフロー分析の基本

キャッシュフロー分析の位置づけ


 会社の収益力は中小企業の場合であっても、決算書から判断するのが基本です。
 ただし、決算書は粉飾されている可能性が高いので、そのような場合にはキャッシュフロー分析と合わせて、決算書を分析することをお進めしています。
 なぜなら、キャッシュフロー分析は、基本的に粉飾操作に影響を受けないからです。

 儲かっていればキャッシュフローはプラスのトレンドに、逆に損をしていれば決算書が粉飾によって黒字となっていてもキャッシュフローはマイナスのトレンドになります。
 決算書からでも、棚卸資産や売上債権の回転日数の長期トレンドをみること等によって、ある程度は粉飾の実態が把握できます。
 キャッシュフロー分析は、決算書分析で把握された粉飾の可能性を、キャッシュフローの観点から再チェックするという位置付けで利用するのが効果的だと思います。

 キャッシュフロー分析を、粉飾の可能性を見破るという目的で考えれば、固定資産の取得や売却は分析上無視してもよいでしょう。
 そのほうが、本業でお金がまわっているかの判断がシンプルに行えると思います。
 ただし、定期的、継続的に固定資産への投資が必要な会社については、話が違います。
 そのような会社の場合には、固定資産への定期的な支出が不可避的であるため、固定資産の取得費等は会計上は固定資産として計上されるとしても、キャッシュフロー分析上は、経常的な支出として取り扱うことが必要と思われます。

 たとえば、パチンコ業界を例にとると、通常パチンコホールの経営においては、定期的な新台入替えを行うことが必要です。
 そのため、新台購入前の段階でキャッシュフローが足りていたとしても、新台購入後で足りていなければキャッシュが十分まわっているといえません。
 ですから、新台の購入費は通常の経費と同様に扱った方が、キャッシュフロー分析の結果が適切なものになります。

 同様に、ホテル業界の場合で考えると、通常ホテル経営においては、一定の期間毎にある程度の改装が必要となります。
 ですから、改装のための資金が毎年貯まっていく状態でないといけません。

 このような業界においては、キャッシュフロー分析の結果をとして、改装資金が毎年貯まっていく状態にあるかどうかで、お金がまわっているかの判断をする必要があります。



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