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中小企業における収益力とは

役員報酬等の金額から分かること


 このように役員報酬額の推移には、収益力の把握にとって重要な情報が含まれています。
 しかし、現状ほとんどの金融機関では役員報酬の金額を適切に把握していません。
 仮に把握していたとしても、それは決算書に掲載されている役員報酬の総額だけではないでしょうか。

 本当に把握すべき情報は、
  社長がいくら、取締役営業部長がいくら
といった、個々人別の報酬額です。

 中小企業の財務分析において、
  血縁関係のない古参社員に対する役員報酬
は、法的に役員報酬だとしても、財務分析上は単なる給与と同じに考えた方が分かりやすいと思います。

 一方で、役員になっていない
  経営者一族の社員に対する給与
は、会計処理上は給与という名前で損益計算書に計上されますが、財務分析上は役員報酬と同等に扱って分析することが望まれます。
 経営者一族のそれぞれが役員報酬をいくら取っているか、その上で最終的な会社の利益がいくらになったのかという視点で分析することが大切だからです。

 役員報酬を誰がいくら貰っているのかといった情報は、比較的簡単に入手することが可能です。
 役員報酬に関する個人別の内訳明細書は、税務申告上で必須の書類となっています。
 ですから、決算書と共に通常入手している内訳明細書にキチンと記載されています。
 内訳明細書を入手したら、まずは役員報酬の明細を見るようにしましょう。

 役員になっていない後継者等の給与は、通常入手にする資料からは把握できません。
 しかし、分析上は大切な情報ですので、たとえ役員ではなくても、経営者一族が会社から得ている給与はヒアリング等を利用して、すべて把握するようにしましょう。




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