相続税の申告が必要なら
相続時の申告を自分で行う
相続税額を自分で計算する場合の注意点
●リストアップまず、リストアップについては、名義預金とか名義株式と呼ばれる預金や株式がないかを、よく検討してください。
この場合の名義預金、名義株式とは、被相続人が相続人等の名前を借りて、被相続人自身が所有(管理)していた預金や株式のことをいいます。
相続税の税務調査で、一番指摘されることの多い項目が、この名義預金・名義株式の計上漏れです。
相続税の税務調査においては、現金預金と有価証券の修正だけで、全体の半分を超えているとのことです。
名義預金や名義株式に関して、相続税法上における所有者の判断基準は、非常に難しい部分があります。
たとえば、贈与税の納付義務に関する消滅時効7年です。
それよりずっと前に贈与が完結していれば、たとえ贈与税の申告や納付をしていなくても、贈与税が消滅時効に掛かってしまうため、贈与税を賦課することができません。
そのような不本意な結果にならないよう、名義預金については被相続人が当該預金通帳に入金した時に贈与が成立したということではなく、当該通帳が名義人に渡され名義人の管理下に置かれた時が贈与の成立日であるというのが、税務当局の一般的考え方です。
ですから、名義預金や名義株式については、名義人に所有権があるため相続税には関係ないといった安易な判断をしないで、どのような管理が為されていたか、使っていた印鑑や入出金等の状況、その入出金等に関する事実関係の把握状況まで含めて慎重に検討し、相続税の計算に加える必要があるかを決める必要があると思います。
リストアップをする際には、死亡保険金や死亡退職金についても、みなし相続財産としてリストアップを忘れないようにしましょう。(法定相続人一人当たりで、各500万円の非課税枠があることも忘れないようにしてください。)
同じく、相続前3年以内における被相続人から相続人に対する贈与財産も、みなし相続財産としてリストアップが必要なので注意してください。
●財産評価
財産評価については、評価を減額できる特例等の適用漏れがないかをキチンと確認しておきましょう。
相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)については、減額を適用しないと相続税を余分に支払うことになってしまうため、注意が必要です。
また、この特例については、この特例を受けようとする旨を記載した相続税申告書を税務署に提出すること等によって適用が受けられるようになるため、その点についても注意が必要です。
不動産について、一般的な相続税法上の評価を用いたならば、実際に想定される売却金額より過大となってしまう場合には、不動産鑑定士による鑑定評価をお願いすること等によって、実際の売却見込額に近い評価金額を相続税の計算に利用することも検討するようにしましょう。
非上場株式を保有している場合には、その評価は難しいため、その評価だけは税理士に依頼するということを検討してもよいかもしれません。
非上場株式については、基本的には誰が相続税法上の評価額を算定しても同じ数字になるはずですが、中には判断を迷う部分があるため、実際には評価額がそれなりに異なってくる可能性があります。
たとえば、当該非上場会社が土地を所有している場合、その土地の評価は税理士によって異なる評価に辿り着く可能性があります。
ですから、評価の結果が分かれる可能性はどこかにあるか、依頼する前に税理士に質問して確認するのも面白いかもしれません。
評価の別れる可能性がないようであれば、自分自身で算定努力をしてみることも検討に値するからです。
葬儀費用や病院に対する未払の医療費については、マイナスの相続財産としてプラスの財産から控除することができます。
これについても相続税の算定上で忘れられることがないように注意してください。
●相続税の計算
配偶者については、相続財産の法定相続分と1億6千万円のうち大きい方の金額を相続するまでは相続税が掛かりません。
ただし、たくさん相続をすると、次の相続を行う際に多額の相続税がかかり、かえって相続二回分の相続税額合計は大きくなってしまうかもしれません。
このあたりを十分に検討して、遺産分割の方法を確定させるとよいでしょう。
次は、税務署から連絡がある場合
以下、目次です。
相続時の税理士の選び方
相続税申告の特徴、相続税に強い税理士とは、相続税のセカンドオピニオン
相続税の申告を自分で行う
相続税申告書の作成について、相続税の概算額計算、自分で計算する際の注意点
税務署から連絡があったら
税務署から連絡がある場合、相続税の税務調査内容、税務調査の準備と対応