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中小企業の決算書を読みこなす

当期純利益率について


 儲かっている会社は、節税を考えて決算書上の利益を少なくしようとします。
 一方で、赤字体質の会社は、銀行対策として、若干の利益を計上するように、粉飾をする傾向にあります。
 ほとんどの中小企業は、毎期少額の利益計上をするように、決算書を作成しようとしているのです。

 利益の理想的な水準は、目安として
   税引前利益で売上高の0.5%
   課税負担が売上高の0.2%
   税引後の当期純利益が売上高の0.3%
くらいです。

 売上高が1億円の会社であれば、理想的な税引前利益の水準は、その0.5%にあたる50万円くらいです。
 そうすれば法人税等も数十万円ですので、その程度の納税負担ならば、比較的気持ちよく支払うことができるかです。
 売上高が10億円の会社であれば、理想的な税引前利益の水準は500万円くらいとなります。
 この規模の会社であれば、数百万円程度の納税負担は、重たいと感じられない金額だと思います。

 逆に考えると、この規模の会社が毎期500万円程度の税引前利益を計上して、数百万円の税金を毎期納税していたとしても、それだけで安心できる業績とはいえないということです。
 この規模の会社にとって、数百万円程度の納税は比較的簡単に行えるため、本当は赤字で法人税等を支払う必要がないのに、わざわざ粉飾をして黒字決算を組み、法人税等まで支払うことが多いのです。

 利益率が低い場合、黒字決算が続いていても安心できないということです。




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