税理士法人 名古屋石田会計事務所



税理士紹介コラム>D税務会計



D税務会計 (タイトル一覧)

1相続税申告の実務
2税務上の時価について
3役員社宅としてマイホームを取得
4相続(争族)対策、事業承継対策
5贈与税の非課税枠110万円に関する誤解について
6残された遺族名義の預金にも相続税が
7良い会計事務所である条件
8書類の保存方法
9税務調査の立会い
10経費になるかどうか
11相続への準備を是非
12経理業務は月に3日間で全て出来る?
13プチ節税方法のご紹介
14税務調査シーズン等について
15所得税の確定申告シーズンを終えて
16月次決算の大切さについて
17相続税対策、相続対策、遺言の活用
18国税通則法の改正について
19お勧めの会計ソフト
20エクセルの使い方


1.相続税申告の実務

相続税の調査では、被相続人だけでなく、相続人についても財産を調査され、またプライベートな質問を受けます。
その中で税理士も聞いていない事実が発覚し、不利な修正申告を余儀なくされる事例は珍しくないと思います。
質問等を遠慮してしまうと、逆に依頼者に不利益を与えかねません。
最近の私は、聞きにくい質問等もしつつ、申告書を慎重に作成するとともに、調査前には余計な疑いを掛けられぬよう、予行演習まで行うこともあります。
先般、相続税の調査があり、交渉の末に修正申告は不要という結果となり、依頼者に喜ばれましたが、私自身もそれ以上に(?)うれしく思いました。
 ( 2008年 7月 )

TOPへ


2.税務上の時価について

不動産や非上場株式などの資産は、相続税額等を算定するために、税法上で評価方法が定められています。
その方法によって計算された評価額を、税務上の時価とよんだりします。
税務上の時価は、実際の時価に近い金額になるとは限りません。
また、同族会社や親族間で売買するには、税務上の時価で行うべしという税法は存在していません。
しかし、「いくらで売買すればよいか」と社長から聞かれ、「税務上の時価がいくらなので、その額で売買してください」と回答する税理士がけっこう多いのです。
時価と乖離した金額で売買した場合に、税法上では時価で売買したと見なされ課税されるケース等もあります。
だから、税務上の時価で売買をするように指示したくなるのでしょう。
でも、おかしな話です。
本来、売買価格は自由に決めるべきものです。
また、税務上の時価から乖離した金額で売買した方が、総合的に考えて各種税金が安くなるケースは結構多いはずです。
税務上の時価と乖離する金額で売買した場合、税務上の課税関係がどうなるかまで考えて、いくらで売買するのがお客様のニーズにあうか提案することが、一番のアドバイスだと思います。
スタッフレベルでも、そのようなアドバイスができるよう、これからの研修を充実させる予定です。
 ( 2013年 11月 )

TOPへ


3.役員社宅としてマイホームを取得

マイホームを新築される場合、会社経営者ならばマイホームを会社資産として建築し、社長個人が会社から役員社宅として賃借するという節税方法があります。
会社で取得すると、購入に関わる消費税が一般的には全額戻ってきます。
その後の決算期においては、当該建物の減価償却費を会社の費用として毎期計上できるため、会社経費が増やせます。
借入をするのであれば、その支払利息も会社経費にできます。
固定資産税等も会社の負担として構いません。
その一方で、個人が会社に支払う賃借料は、税法で有利に定められた安い賃料で大丈夫です。
何年か経過後にマイホームを個人名義にしたくなった際には、当該建物の固定資産評価額で取得すれば、税務上は特に問題が生じません。
木造住宅の固定資産税評価は、購入直後の評価額でも既に取得金額の半分以下になっていたりするので大変お得です。
その際、会社に発生する固定資産売却損も、会社の経費にできます。
会社名義のままにしておけば、建物が古くなって修繕費が発生する場合に、修繕費を会社の負担にすることができます。
売上の確保が難しい昨今、支出を減らす節税努力も大切な戦略です。
現状に対して専門家のアドバイスを受けることも重要ですが、事前に有名な節税スキームを本で勉強しておくことも、意外と役立つような気がいたします。
(節税の解説本を超えたアドバイスをするのが我々の仕事です。)
 ( 2009年 11月 )

TOPへ


4.相続(争族)対策、事業承継対策

最近、相続や株式買取等に関する揉め事の相談が増えています。
弁護士に相談している案件だけでも現在4件になります。
相続した株式に関する兄弟間の争い、創業時からの社員が保有する株式の買取に関する争い、亡くなられた社長の奥様と社長の兄弟間での経営権争い、母と子の相続争い等。
争いには直接関係ない部分でも相手に非のある点は徹底的に訴訟する方針をちらつかせ、本論である交渉を有利に進めよう、というパターンが多いです。
思わぬ嫌がらせが交渉のテーブルにあがるため、相談に乗らせていただいていても、正直申し上げて気持ちよくありません。
家長制度が崩壊し、インターネットによって知恵がつき、弁護士の増加で訴訟請負人が増え、高度成長期に内部留保を厚くした同族会社が相続時期を迎える状況等から、今後の訴訟事件は増加していくように感じられます。
人はお金が絡むと、卑しくなりがちです。
しかもそこに人間関係が絡むと、卑しくても仕方がないと自分を肯定しうる理由ができるためか、積極的に争う姿勢を示す確率が高くなるようです。
態度を豹変させたように見えることも少なくありません。
事業承継者以外が保有する株式の買取、遺産分割の方法等については、先送りにせず、覚書きを交わしたり、遺言を用意するなど、早期の対応をしていただきたく思います。
このような話をすると、「うちの子供達は仲がいいから大丈夫」といった類の返答をいただくことが多いのですが、だからこそ、仲がいい状態を継続させてあげるために、火種を消しておいて欲しいのです。
 ( 2006年 10月 )

TOPへ


5.贈与税の非課税枠110万円に関する誤解について

贈与税は暦年を基準に税額が算定され、金銭等をもらった人が、もらった額に応じて税額を支払う仕組みになっています。
もらった金銭等が年間110万円以下であれば贈与税がかからないことは、既にご存知の方が多いと思います。
子供の預金通帳を作成し、贈与税がかからないように毎年110万円以内の金額を入金して、贈与をしている方は珍しくありません。
子供が大きくなったとき、通帳の残高がたとえば1,000万円になったとしましょう。
その通帳を子供が成人したときに、成人祝いとして手渡すというような考えの方が多いようです。
しかし、その1,000万円には贈与税がかかる可能性があります。
税務署は、毎年110万円以内の金銭贈与があったと見るかわりに、今まで子供の名義を借りて親が預金していたもの(つまり親の財産)を、成人祝いとしてまとめて1,000万円贈与したと見ることが多いのです。
確かに、子供の知らないところで預金していたのであれば、子供に贈与せずに預金を引き出して自分の預金口座に戻し入れることが可能です。
税務署からそのような認定を受けるとかなりの贈与税額が課税されます。
そのような認定を受けないために、子供が自ら金銭等をもらったと認識していた、そして、もらった金銭等を通帳に預けて自ら管理していたことを証明できる客観的な資料を残しておく必要があります。
しかし、そのような証明資料を整えておくことは困難であるため、一般的には111万円贈与して(110万円を超えた1万円部分が課税対象となり)、贈与税を千円(1万円×贈与税率10%)だけ支払うといった贈与税の申告書を提出するといった対策を講じておく必要があります。
 ( 2004年 12月 )

TOPへ


6.残された遺族名義の預金にも相続税が

残された遺族名義の預金にも相続税が 現在、2件の相続税調査に対応中なのですが、どちらの調査においても問題視されているのが、遺族名義の預金に対する相続税の問題です。
奥様の給与を、社長が取引している証券会社を通じて社長名義で株式運用し、売却時に売却金額を奥様の預金通帳に戻したとします。
奥様の給与で株式を購入したということが証明できない場合、奥様の通帳に戻したと思っていた金額は、税務署の立場から見ると、社長から奥様への貸付(もしくは贈与)と看做され、社長が亡くなった際には、相続税の対象であるという指摘を受けます。
個人事業者が何年も未払にしていた奥様への給与を、ある時まとめて奥様の通帳に振り込んだとします。
何年も未払にしていた事実を証明できなければ、振込金額に対して、税務署は同様の見方をします。
普段は奥様の通帳から生活費を引き出し、残高が少なくなると社長が奥様の通帳にまとまったお金を振り込んでいる場合、認識としては社長が生活費を負担しているということになると思いますが、税務署の見方は先程の事例と同じようになります。
家族間で百万円単位の資金移動があるような場合には、税務署から想定外の指摘を受けないよう注意が必要です。
(気になる状況の方は、遠慮なく私共までお問い合わせください。)

<補足コメント>
社長が子供名義の通帳を作って、贈与税の非課税枠である110万円を毎年入金し続けたとします。
その場合、贈与税を負担する必要がなく贈与は完了しているという認識でいることが多いと思いますが、税務署の見方は違います。
子供に通帳を渡した時が税務上の贈与時期であり、その時点の通帳残高が110万円を越えていたら贈与税の対象、渡さす前に亡くなったら、子供の名義を利用した社長の相続財産として、相続税の対象となります。
そのような通帳をお持ちの方は、早めに私共まで相談いただきたく思います。
 ( 2012年 10月 )

TOPへ


7.良い会計事務所である条件

最近、お客様から事業再編に関する相談があり、そのスキーム等を検討するために、かなり多くの日数を使っています。
現在の税法は少し前と比較して、非常に難しくなっていると改めて感じています。
事業再編に関連する法律、会計、税務の基本知識はもともと勉強済みです。
合併等の実務を何度か指導した実績もあります。
それでも、いろいろなスキームを考え、それを様々な角度から慎重に検討して評価、整理するという仕事は、私にとって非常に多くの時間を掛け、しかも本当に頭を使わなければできない仕事です。
税理士業界で使っている人が多い「図解法人税」という書籍を確認したら、平成16年度版では565ページだったのが、平成25年度版では873ページと、50%以上も増えていました。
かなり増えていると感じていましたが、予想以上の増加割合でした。
増加した部分の法人税法をほとんど知らないままでも、普通に税理士実務を継続していくことは可能であり、そのような税理士は少なくないと思います。
ただし、複数の会社を持っている、M&Aも検討している、あるいは事業承継(相続対策)が必要といった経営者にとっては注意が必要です。
新しい税法までキチンと勉強していない税理士のお世話になっていると、適切ではない選択肢をアドバイスされてしまう可能性が少なくないでしょう。
その場合、余計な税負担が発生したり、事業承継等がうまく進まなかったりすると思います。

<補足コメント>
税理士の中には、面倒な相談に対して、雑に対応している人が少なくないように思います。
生活に困っていないので、多少仕事が減っても構わないと思っているのかもしれません。
他の会計事務所から移ってこられる新規のお客様から、それまでの顧問税理士に関する不満を聞くことが多々ありますが、話半分にしてもひどいケースが珍しくありません。
能力的な問題もありますが、やる気のなさに関する問題が非常に多いと感じます。
そのような悪い事例を見習わないで、専門家としてのプライドを持って、日々精進していきたいと思います。
 ( 2013年 9月 )

TOPへ


8.書類の保存方法

消費税の仕入税額控除を行うためには、領収書等を保存しておく必要があります。
なので、税務調査の段階で仕入の領収書がなくなっていた場合には、その金額の5%について、消費税の追徴課税が発生する可能性があります。
私は古い書類について、処分時期ごとに分けてダンボールにいれ、そこに入れた書類名と処分時期を明記して保管管理しています。
たぶんいらないけど、しばらく取っておいたほうが無難な書類等は、5年程度の期間を決めてダンボールにいれ、その後に使ったものは他所に保管し、取り出されなかったものを期間経過後に処分するようにしています。
 ( 2012年 2月 )

TOPへ


9.税務調査の立会い

税務調査は恐ろしいと言われることがあります。
私も以前はそうでしたが、銀行検査業務を経験して以降、そのような気持ちは非常に少なくなりました。
調査官は、時に悪質な者すら相手にしつつ、正義感を持って真面目に仕事をされる方が多いと思います。
残念ながら、実績をあげたいという使命感等から、無理な指摘をしがちな面もあります。
そこに公正な立場にある税理士が調査に立会う意味があります。
税理士が調査官の立場も理解しながら、判断材料を上手に提供すること等によって、調査結果は随分と公平に落ち着くものです。
人の判断が入りますので、多少の運不運はありますが。
 ( 2008年 8月 )

TOPへ


10.経費になるかどうか

経費にするかどうかを判断するのは経営者自身です。
それを認めるかを決めるのは税務署の調査官です。
税理士は適切な判断基準や調査官の考え方等をアドバイスする立場であり、助言こそすれ、判断する立場ではないと思います。
新規のお客様から、前の税理士に「これは経費にできない」といわれた支出の話を伺いました。
社長の説明から、私は経費であろうと思いましたので、経費処理することにしました。
明らかに経費ではない多額の支出を経費処理にしたままで申告書にサインする税理士は問題かもしれませんが、過度に保守的な処理を求める税理士が珍しくないことも問題だと思います。
 ( 2013年 11月 )

TOPへ


11.相続への準備を是非

人は基本的に善人だと思いたいのですが、弱い部分も合わせ持っていると認識しておくことは必要だと思います。
利害が絡めば欲が出て、少なからず冷静さを失うのが普通でしょう。
相続・遺産分割の実務では、「自分がたくさん相続したい」とは言わず、「あの人がそんなにも貰うのは許せない」等、聞こえの良い理由から相続争いに発展するケースが珍しくありません。
遺産分割協議とは、基本的に揉めやすい事柄なのでしょう。
ですから、一定額以上の財産を保有する以上は、残される遺族が揉めないように、生前から遺産分割に道筋をつけておく責務を認識して貰いたいと、最近強く感じております。
 ( 2010年 10月 )

TOPへ


12.経理業務は月に3日間で全て出来る?

「経理合理化プロジェクト」代表の児玉税理士が書いた「経理の合理化」という本を読みました。
中身は合理化のテクニックですが、その中で、「売上規模が10億円までの会社であれば、経費精算から支払作業、会計処理までのルーチン作業は、3日でこなすことが可能です。」と書いてあります。
このようなコメントに関して、「そんなこと無理だ」と考える経理担当者は多いと思います。
この何年かで会計ソフトや表計算ソフト等は進歩し、ネット・バンキング等の環境も充実しました。
総勘定元帳や伝票を手書きする必要もなくなりました。
実務をやっている税理士が書いているので、「3日で出来る」というのは誇張があるにしても、5日あれば確実に出来るのだろうと思います。
石田会計スタッフ3名にこの本を読んでもらいましたが、うち2名は「会社のやる気と協力が得られれば、5日間で出来るようにコンサルティングできると思う」と答えました。
あとは、「変革への意欲」の問題だと思います。
 ( 2005年 10月 )

TOPへ


13.プチ節税方法のご紹介

節税には、様々な状況で発生する法人税や相続税等を対象に、個別スキームを考えるような節税もありますが、今回は少額ですが、簡単に実行できそうな節税の方法を、2つほど紹介いたします。
一つ目は、出張旅費規程の採用です。
出張で宿泊した際には、宿泊費の実費を経費にするのが基本です。
しかし、実費相当額をあらかじめ規定に定めておけば、実費にかえて当該規定の金額を経費とすることができるという節税方法です。
具体的な実費相当額としては、国家公務員の規定が参考になります。
(「国家公務員等の旅費に関する法律」と検索すれば見つかります。)
階級によって異なりますが、たとえば総理大臣が東京や名古屋に宿泊すると、1泊19,100円、指定職だと14,800円、私が東海財務局を退官する際の7級職だと13,100円となっています。
どの階級を参考に規定を作るかによって節税額は異なりますが、実費との差額分だけは得をします。
二つ目は、収入印紙の購入方法です。
収入印紙を、郵便局で購入するかわりにチケットショップで購入すると、購入金額が消費税の計算上で課税仕入として処理できます。
一般的なケースでは、購入金額の5%分だけ消費税を節税することができます。
 ( 2012年 3月 )

TOPへ


14.税務調査シーズン等について

税務調査は、実施されるシーズンがある程度決まっております。
税務署には調査を実施しにくい時期があるので、結果として、それ以外の時期に調査が行われやすくなるのです。
まず、3月の所得税確定申告の時期は、業務が忙しくなるため、その期間には調査がほとんど行われません。
また、人事異動が7月1日となっている関係等で、この時期にも基本的に調査がありません。
その前後で調査に入ろうとすると、人事異動の如何によっては、調査およびその準備作業に関する引継ぎが必要になってしまうからです。
結果として、8月から12月が税務調査のピークシーズンとなります。
1月から2月は、調査がないとはいえませんが、大きな問題があり調査が確定申告時期まで長引きそうな案件には着手しないと思われます。
同様に4月から5月も、人事異動時期まで長引くことがないよう、軽め、あるいは年度計画を達成するための調整的な調査が多いように思います。
いずれにしても、現金商売等を除けば基本的に調査予告があり、税理士と事前の打合せをする時間が十分に取れますので、ご安心ください。
ちなみに、税務調査時期の決め方に関する方針は、以前私が在籍していた財務局が行う銀行検査の場合と非常に似ております。
 ( 2008年 8月 )

TOPへ


15.所得税の確定申告シーズンを終えて

会計データの内容確認や前年度比較等によって、経費の計上漏れはないか、税額が安くなるような処理をきちんと適用しているか等を、今年度も全件チェックをさせていただきました。
将来を見込んだ節税のご提案ができないかについても、検討させていただきました。
その中で有利とはいえない課税関係が既に生じており「いまさら仕方がない」ということで納税額が算出されてしまう事例が何件か見当たり、とても残念に思いました。
たとえば、年度を分割しないで贈与をしたり、保険の満期日が同年度に集中したりすると、年度ごとに利用可能な非課税枠等が有効利用できません。
無理せずに税額控除を利用できたはずなのに、適用できないように不動産登記がなされていた事例もございました。
税法に限らず、他の法律や助成金の申請等でも、後からではどうしようもないケースは珍しくありません。
私どもといたしましても、出来るだけ事前の情報提供・情報収集に努めてまいりますが、お客様におかれましても、贈与や保険の契約、多額な支出、その他の諸問題など、なんでも結構ですので専門家に相談しておいたほうが良さそうな事柄につきましては、小さなことでも早めに担当スタッフまでご相談ください。
仲のよい弁護士事務所や社会保険労務士事務所等と協力して、できるだけ最適と思われる対応方法を、迅速にご回答させていただきたく思います。
( 2008年 4月 )

TOPへ


16.月次決算の大切さについて

月次決算の大切さについて 厳しい経営環境を生き抜くために、的確な現状分析や将来予測とともに、改善・変革のための決断・行動力が重要だと感じることが増えております。
その中で会計がどのように役立つのか、会計の専門家として今まで以上に自問自答しております。
「利益を稼げるならドンブリ勘定でも構わない」という見解も尊重すべきだと考えております。
しかし、収益力が高い一定規模以上の会社では、月次決算の結果を気にされる社長の割合が非常に高いと、経験が増えるにしたがい実感してきました。
私どもの会計事務所でも規模が大きくなるにつれて、月次決算による対前期比較や、予算比較に関与させていただくお客様の件数が増えております。
そのような会社は、確かに変化を捉えるタイミングや、対応策の決定・実施が早いように感じます。
月次決算を大切にしてきたかどうかによる差異が、景気悪化によって、より鮮明に業績に反映されてきたように思います。
世界的な不況や、日本国内における政治の混乱等による厳しい経済環境は、当面続いていくものと予想されます。
その中で、できるだけ早く変化の兆候をつかみ、適時適切な対応を可能にするために、月次決算の結果を気にしながら経営をすることが、今後ますます価値のあるものになると思います。
当然にドンブリ勘定よりも手間やコストが掛かりますが、それに見合う効果は十分期待できるように思います。
 ( 2009年 8月 )

TOPへ


17.相続税対策、相続対策、遺言の活用

相続対策として毎年少しずつご子息等に贈与を行っている方は多いと思います。
贈与は年内に、贈与税の申告は、所得税の確定申告と同じ翌年3/15までです。
会計事務所にいると、ついつい相続税対策に気をとられるのですが、本当に大切なのは相続対策だと実感する業務が最近続いています。
誰が何をもらうかを親族間で揉めるほど、 傍で見ていて残念なことはありません。
分ける資産があるだけでも羨ましいと思う人は多いはずなのに、当事者にとっては、過去のしがらみも合わさり、身内ならではの大喧嘩となります。
根本には、先代が道筋を綺麗に残されなかったことが原因だと感じます。
最近、遺言書を残される人が増えているようです。
私も賛成です。
生命保険については、受取人を決めておくことが簡単なので、現金資産を保険資産にかえることは積極的に利用すべきでしょう。
(受取人に特定の相続人を決めておくと、遺産分割協議に関係なく、相続人が決まります。)
それ以外の財産については、誰に何を相続してもらいたいか事前に決めておく、相続予定者にも伝えておくことが大切だと思います。
相続の意思を伝えるのが大変だから、気分的にイヤだからといって、避けておくことは、後々の問題として残される家族にいやな思いをさせる可能性が高くなります。
相続の意思を伝えず財産だけを残すという行為は、私から見ると勝手な自己満足であり、財産を残す者としての責任を十分に果たしていないように思います。
本来は、相続争いの心配が全くない、本当に友好的な関係の家族を残すことが理想ですが。
 ( 2005年 11月 )

TOPへ


18.国税通則法の改正について

国税通則法が改正され、1月から施行されます。
改正内容は、今までの税務調査の手続きを明確化したものであり、実務的には特に影響はなさそうとの報道等がなされていました。
税務署では10月の税務調査から先行して施行しているようなのですが、実際に新しい体制での税務調査を数件受けてみた印象では、今までより税務調査への対応が難しくなると感じています。
一番の変更点は、担当調査官は税務調査の結果を、事前に署内で承認を受けてから、納税者に伝えてくるようになった点です。
実際には、納税者との十分な質疑等が行われていない段階で署内の承認を受けている感じなので、あとから正論を主張しても、「既に承認を受けてしまったので、(仮に主張が正しかったとしても)一切の主張は受け付けられない」といったスタンスで、税務調査を終了させようとしてきます。
今後の税務調査では、立ち入り調査が終了するまでに、納税者に有利となるような事実関係や条文・通達等を準備し、担当調査官と早い段階で深いレベルの交渉をすることが重要になりそうです。
そうしないと本来なら修正申告の必要がないような問題でも、不服申し立てのような手続きを使わないと、主張を通すことができなくなりそうだと思いました。

<補足コメント>
東海財務局(財務省と金融庁の出先機関を兼務している役所)での勤務経験からいうと、おそらく局内の全職員が「内部的な会議等を通じて上司に承認された事柄は、原則として何があっても修正はできない」と思っているといっても過言ではないでしょう。
それが正しいとは思えませんが、税務署も含めて、公務員組織は全て同じような文化に染まっていると思います。
役所との交渉は、内部の承認手続き等が行われてからでは遅すぎます。
担当官が腹案を準備している段階で行うことが、よい結論を獲得する秘訣だと思います。
 ( 2013年 1月 )

TOPへ


19.お勧めの会計ソフト

お客様は、今まで使い慣れた会計ソフトを使い続けたいと考えることが多いため、我々はそのニーズに対応するため、非常に多くの会計ソフトを操作しています。
市販されている会計ソフトは、以前と比較すると金額が安くなり、また、機能的にも使い易くなったと感じます。
勘定奉行、PCA会計、会計王、財務応援、かんたん会計、らくだ、FX2など、多くの会計ソフトを利用した経験を踏まえ、弥生会計が1番使いやすく、価格もリーズナブルなので、自信を持ってお勧めしています。
今は他のソフトも使いやすくなってきたため、以前ほどは差がありませんが、それでも使い易さでは弥生会計が今でもダントツ1番だと思います。
簿記のルールは変更されることがないため、会計ソフトは基本的にバージョンアップの必要がありません。
我々のお客様の中には、弥生会計95を今も使い続けているお客様が何先もございます。
(古いバージョンなので機能的に使いにくさを感じますが。)
ただし、消費税の課税事業者となっている会社の場合、消費税率が変更になった場合には、会計ソフトを買い替えた方がよいでしょう。
会計ソフトに消費税率を変更できる機能がついていれば、変更があった場合でもソフトを買いなおす必要がありません。
そのような機能がついている会計ソフトが発売されたら、その会計ソフトを一番お勧めすることになるかもしれません。
消費税率の改訂にあわせて、そのような会計ソフトが販売されることを期待しています。

<補足コメント>
お客様である上場子会社、中堅企業、社団法人、医療法人において、弥生会計は問題なく利用されています。
取引量が多いとか、一般事業法人ではないからといって、公益法人用とか建設業用といった高額な会計ソフトを購入する必要はないでしょう。
会計ソフトに、販売管理や給与ソフト等を連動させることも、基本的に避けた方がよいと思います。
PCやデータ処理に不慣れな人が行うと、処理を間違えやすいわりに、連動させるメリットは大きくないからです。
会計ソフトは使い易いものをシンプルに使い続けるのが理想だと思います。
 ( 2013年 8月 )

TOPへ


20.エクセルの使い方

表計算ソフトのエクセルで作成されたデータをもらうことは珍しくありませんが、その際、データが使いにくく整理されていると感じることが多々あります。
たとえば経営分析のために、何かしらの経営データを作成するとします。
経営データの種類ごとに、罫線や空白セル等をうまく利用し、見やすい表を作成する人が多いでしょう。
しかし、データは種類ごとに並べるだけでなく、時系列の推移をグラフ化したり、特定データ間の相関関係をチェックしたりと、多面的に分析すべきです。
そのために必要となるデータを取り出す場合、たとえば見やすくするため一行おきに挿入された空白セルや、見出し用のセル結合などは非常に邪魔です。
比較したいデータを取り出すために、並べ替え等の余計なデータ処理が必要になってしまいます。
私はデータを作成する場合、とりあえずシンプルにデータを並べます。
その方が再加工しやすいからです。
罫線もほとんど利用しません。
大きな表となって、見難くなる場合もあります。
しかし、それは基本的にデータベースとして扱うので、特に問題ありません。
あとは自分が見たい部分を見易いように、そのデータベースから必要部分だけをコピーや切り貼り、参照機能を使って他の場所やシートに表示させ、使っています。
お客様にコピーをお渡しする場合には、最後に罫線を付け加えて見やすくして印刷します。
このような使い方をすると、データの使いまわしや再編集等が簡単で、非常に効率的な作業が可能となります。

<補足コメント>
事務作業は、努力の仕方に特徴があります。
集中して長時間頑張ることも時には必要ですが、それよりもエクセルのマクロ機能等を使ってワンタッチで処理した方が、早くて正確だったりします。
とにかく頭を使うことが大切です。
すぐに作業に取り掛からず、どのような手順で行うと効率的かを最初に考える癖をつけましょう。
想定が狂ったら、途中で再検討する時間を確保しましょう。
時々、まとまった時間を使って日々の作業内容を分析し、時間が掛かる、あるいはミスが多い部分について再検討し、新しい手順等を試してみることも大切だと思います。
 ( 2013年 7月 )


TOPへ