税理士法人 名古屋石田会計事務所



税理士紹介コラム>B経営戦略



B経営戦略 (タイトル一覧)

1収益アップとリスク管理
2どんぶり勘定 VS 計数管理
3撤退に対する心理的な抵抗感
4コモディティー化から逃げる努力を
5不景気に対する心構え
6大きなリスクについて
7リスクを少なく
8社会のトレンドと中長期のビジョン
9規制緩和や自由競争等の先にある世界
10ビジネスモデルという考え方
11ピンチをチャンスに
12よく考えること、深く考え過ぎないこと
13賢者は歴史に学ぶ、愚人は経験に学ぶ
14成功事例に学ぶ
15出口戦略を検討してみる
16最近の業績動向について
17経営を成功させる秘訣
18アベノミクスはうまくいく?
19損益分岐点(CVP)分析と価格交渉について
20変化の先頭に立つ


1.収益アップとリスク管理

黒字体質の会社は、売上規模を大きくすると利益も増加します。
しかし、リスクは通常は増加します。
仕事量が減った際には、過剰となった経営資源が無駄なコストとして収益を圧迫しますし、規模が大きくなった分だけ経営の建て直しにも、より大きな時間とコストが発生してしまいます。
収益アップとリスク削減は、反比例する場合が多いので、そのあたりのバランスを考慮することは大切です。
優良企業であったにもかかわらず、更なる収益アップを目指して投資をしたため、結果として赤字体質に苦しんでいる会社は最近珍しくありません。
 ( 2011年 12月 )

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2.どんぶり勘定 VS 計数管理

コンサルティングを依頼されて私が最初に行う作業は、現状利用している経営管理用の資料をチェックすることです。
その際、私が見たい資料が少なく、逆に私から見て不要に思える資料が多いというケースが多々あります。
経理部の業務は、税務申告に耐えうるレベルの会計処理とあわせて、漏れのないように売上回収や経費支払ができれば、とりあえず十分です。
あとは何もしないのが一番低コストであり、その観点からいえば、ドンブリ勘定が優れています。
しかし、それだけでは経営判断が適切に行いにくいので、更に詳細なデータ処理が求められるのです。
経理担当者には、経営判断という目的を意識するより、ミスのない資料作りに専念してしまうタイプの方が多いように思います。
そのため、余計ともいえそうな作業に時間をかける一方で、経営判断に必要な資料は充足されない状況が生じてしまいます。
社長から見て、経理担当者の業務をブラックボックス化しないことは、経営にとって重要なことです。
無駄な作業を控えさせながら、経営に有用なデータを作成するよう指示できるとよいでしょう。
できれば、社長が自ら必要なデータを入手し、エクセル等で分析を行うことが理想的です。
なぜなら、データはいろいろな観点から、多面的に検討をすることが有用だからです。
 ( 2009年 12月 )

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3.撤退に対する心理的な抵抗感

スタッフ用の車につき利用頻度が増えたので、昨年末にヴィッツを1台追加で購入しました。
ところが先般、もともとあった旧型プリウスのバッテリーがあがり、動かなくなってしまいました。
かなり人気がなかったようで、データを見ると1.5ヶ月も使用されていませんでした。
利用する車にバラツキがないよう、スタッフ毎に利用車を決めていればと後悔しつつ、それほど人気がないなら修理より買替えようかと数週間も迷い、結局、スタッフからアンケートをとることにしました。
その結果、スタッフ全員が「1台余分なので廃車した方がよい」という意見であり、台数が足りない際にはタクシーを使った方が、むしろ安くて便利という意見も、複数の人から提案されました。
私自身も、故障に気が付いた直後は廃車という選択肢を考えたのですが、その考えは次第に薄れていきました。
今にして思うと、台数を増やしたことに対して、いろいろな角度から意義を見出し、一生懸命に正当化しようとしていたような気がいたします。
ということで、最終的には廃車手続きとともに、駐車場1台分を解約いたしました。
開業してから初となる、マイナス方向の意思決定です。
今回の件で、自分が決めたことを曲げて撤退方針をとることは、本当に難しいと思いました。
と同時に、そのような選択肢がある場合には、撤退案が過小評価されることがないよう、意識的に気をつける必要があると思いました。

<補足コメント>
はじめての撤退戦略は、私にとって大変に強い抵抗感がありました。
しかし、次に撤退が必要な状況に直面した際には、今回ほどの抵抗感はないような気がします。
引越経験のない人と、引越に慣れている人とでは、転勤に対する抵抗感が違うのに似ていると思うからです。
私が今回、最終的に廃車に決めたのは、「撤退は大変受け入れにくい」と感じたために、敢えて「撤退に慣れておいた方がよい」と思ったことも大きく影響しています。
 ( 2009年 4月 )

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4.コモディティー化から逃げる努力を

コモディティー化とは、市場に流通している商品がメーカーごとの個性を失い、消費者にとってはどこのメーカーの品を購入しても大差ないような状態をいいます。
コモディティー化されると、価格競争が激しくなることから、商品価格は大きく下落してしまいます。
大きな利益を上げるためには、コモディティー化されたものを安く調達し、コモディティー化されていない価値を十分な価格で提供することが大切です。
簡単に手に入るものだけを購入し、簡単に採用できる人材だけを採用し、そこに特別な能力や努力・仕組み等の価値を少し加えて、他社にない個性的なサービス提供を目指すのです。
「同業他社を見ながら横並び」という戦略とは正反対に、同業他社が関心を示していない相手や商品、方法等を組み入れつつ、製品やサービス等を差別化することが、大きな利益につながると思います。
真面目にコツコツが大切な場面もありますが、ひねくれた考えを持ってみたり、変わったことをしてみたりすることで、差別化のヒントが得られることもあると思います。
新入社員や業界に詳しくない友達等に意見を求めることも、アイディアを練るために有効な手段だといえるでしょう。
最初は半信半疑だった戦略が、結果として大きな成果を収めることも珍しくないと思いますので、社長の決断力を持って、いろいろと試行錯誤してみることが重要だと思います。

<補足コメント>
これから社会人デビューしてくる世代は、ゆとり教育の影響を強く受け、競争しないような教育を受けています。
自ら進んで行動することが苦手なようです。
一方、マニュアルに従い頑張ろうとする意欲や、その努力によって人から感謝されたいという思いは、一昔前よりかなり大きくなっているそうです。
人材としてコモディティー化の特徴があるので、そのままでは本人のためにも会社のためにもよくありません。
意欲的に頑張ることができるという特徴を活かしながら、自ら考え積極的に動ける人材に成長できるよう、上司の働きかけが求められていると思います。
 ( 2013年 4月 )

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5.不景気に対する心構え

最近、不動産関連や製造業をはじめ、ほとんどの業種で売上の減少傾向が見受けられます。
お客さまや銀行員等と話をしていても、景気の悪い話ばかりなのですが、そんな中で、力のある経営者ほど、「ピンチはチャンス」とばかり、意識的に明るい話をする努力をしているように感じます。
たとえば、この暇な時期に苦手分野の勉強や人材補強を行いたいとか、ライバルである大手企業の得意先に、低価格等の戦略で、あらたな取引口座開設を狙いたいとか。
こんな社会情勢を逆に利用して、給与の引き下げや仕入単価の削減交渉等を成功させ、利益アップを狙うという会社や、景気対策として行われるであろう助成金事業を積極的に探そうという会社もあります。
景気に左右されない事業分野に進出しようという大胆な事業転換を考えている社長さんや、今までは優良企業だったにもかかわらず、この先は赤字が続く可能性もあるので、安くても会社を売却することを検討しているといった話をされる社長さんもいらっしゃいました。
いい経営をされてきた経営者に共通する特徴を考えていて、こんな状況であっても前向きに考えることや、臨機応変に何かを変えていこうとする姿勢が大切なのだと、改めて感じています。
じっと我慢しか仕方がない状況であったとしても、心の中までじっと我慢になってしまうような心構えでは、これからの厳しい競争社会を生き残っていくことが難しいのかもしれません。

<補足コメント>
こんなご時勢だからこそ、できるだけ明るい話題を探してご提供しようと思ったのですが、一方で、最悪の事態を想定した戦略の重要性をどうお伝えししようか考えておりました。
人は悪いことから目をそらそうとする癖があるようですので、自分では客観的に検討したつもりでも、その予測には見方の甘い部分が残りやすいようです。
ある程度は楽観的な方が、人生そのものは幸福な気がしますので、その点では悩ましい問題ですが、経営者としては最悪の状況も含め、様々な状況を想定した対策を事前に検討しておくことが重要なのだと思います。
 ( 2009年 2月 )

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6.大きなリスクについて

経済的にかなり恵まれていた一族でも時に破綻することがあります。
金融機関の顧問をしていると、そのような事例を見ることが珍しくありません。
その多くは欲を出し過ぎて大きなリスク量を抱えてしまったことが原因です。
山あり谷ありの人生を楽しめる人はそれでもよいのでしょうが、私には耐えられない気がします。
私自身は客観的・長期的な視点を大切に、欲張らず地道な方法を選んでいこうと思います。
そして関与先様には、過剰に大きなリスクを抱えないよう、アドバイスをしてまいりたく思います。
 ( 2008年 12月 )

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7.リスクを少なく

今の時代は、家族経営が魅力的に思えます。
固定給の支払が必要な従業員が少ないので、仕事が減っても赤字になりにくいからです。
投資額の大きな事業は、事業事態が困難になっています。
投資コストの回収途中で市場環境が変わり、投資価値が陳腐化するリスクが増えたからです。
収益を上げることも大切ですが、これからの時代はリスクの少ない経営を維持することも不可欠な気がいたします。
「固定費は極力発生させない」、「投資資金は短期間で回収する」といった経営方針が、強い会社を作るように思います。
 ( 2010年 5月 )

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8.社会のトレンドと中長期のビジョン

景気の悪化等で、お客様の大半が減収減益という決算になっております。
競争原理の結果として、市場で成立する価格が、利益計上できないような単価になっていることも珍しくありません。
今まで増収増益だった会社で、やっと利益が維持できるといった感じです。
このような状況で目先の利益に捕らわれすぎると、貸倒損失の発生等によって、逆に痛い目にあう可能性が高まります。
現状が悪いからといってジタバタすると、かえって危険かもしれません。
今の状況は、今までの努力の結果であり、今の努力は将来の業績に現れてくる。
だとすると、今大切なことは、目先の苦境にぐっと耐えながら、できるだけ広い視野に立って、中長期のスパンで物事を考えることだと思います。
大手企業が、一定水準以上のサービスを、低コストで全国に提供するという社会の仕組みは、今後さらに多くの業界に広がりを見せると思います。
それを達成した会社が勝ち組となり、他社は負け組となるという構図は、基本的に変わらないどころか、更にエスカレートするような気がします。
その中で如何にして、その仕組みの一部を牛耳るか、もしくはニッチな(狭くて競争の少ない)市場を見出すか。
このようなことを本気で考え、今のうちから具体的な準備を進めることが、将来の業績に大きな影響を与えることになると思います。
 ( 2010年 5月 )

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9.規制緩和や自由競争等の先にある世界

グローバル化や参入障壁の減少等によって、大きな資本が効率的に様々な事業を展開したり、また、口コミ情報等が充実したおかげで、消費者としては、よりよい商品やサービスが、より安く手に入るようになりました。
その一方で、企業では競争の激化により、利益の確保が益々困難になっております。
右肩上がりでない社会でこのような競争が続けば、企業にとっては厳しい時代が続くことになります。
単純に考えれば、最終的には利益がゼロになるまで競争の続く状態が、自由競争だからです。
このような状況の中で安定利益を確保するためには、価格競争等に巻き込まれないことが重要であり、その方法論としては主に次の2つが考えられます。
一つ目は差別化戦略です。
他社が真似できないような優位性を持つ方法です。
しかし、差別化できるほどの技術やノウハウ等を得ることは困難です。
二つ目は、競争が少ないニッチな(すきま)市場や、時代の変化を読んで競争相手が少ない新市場を狙い続ける戦略です。
この戦略を軌道に乗せるためには、今まで重視されてきた誠意や努力だけではなく、戦略的な意思決定や、変化に対応する行動力が強く求められます。
差別化の一案として、個人的な人間関係が取引関係に強く反映できる小規模な経営に徹することも、競争を回避する方法として有力な考え方だと思います。
 ( 2009年 9月 )

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10.ビジネスモデルという考え方

昨今の厳しい経済環境下でも儲かっている会社には、儲かる理由がはっきりしている場合が多いのではないでしょうか。
儲かる仕組みが確立しているため競争に強いということです。
ビジネスモデルとは、そういった儲けるための仕組みをいうようです。
まだ競争が厳しくない一部の業界は別ですが、多くの業界では義理人情、努力や根性は当たり前というか、それだけでは残念ながら儲からなくなってしまいました。
一方で、何かしらの理由があって、他社を圧倒するサービスの量や質、価格を提供できる会社であれば、義理人情等に頼らなくても儲かる時代です。
要は、どんな手段や方法で、誰に何をいくらで提供するかという企画の段階で、既に勝負が決まってしまうという話です。
だから儲かる仕組み(ビジネスモデル)を考えないといけないのです。
そのためには一生懸命に頭を使う必要があります。
必ずしも多くの人に評価されなくてもよいので、一定以上の人から大きな評価をもらえるよう、サービスを絞り込んだり、磨きを掛けたりすることも大切です。
取引を通じて無駄や不便を感じる部分があれば、それも新しいビジネスモデルのヒントになります。
忍耐力も大切ですが、我慢ばかりしていたら、様々な改善が遅れてしまいますし、新たなビジネスモデルを見つけるチャンスも見逃してしまうかもしれません。
 ( 2010年 3月 )

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11.ピンチをチャンスに

業績が素晴らしい会社の社長と話をすると、多くの社長が「こんな業績はいつまで続くか分からない」とおっしゃいます。
この言葉の裏には、「順調な業績に浮かれることなく、環境に変化を敏感に感じ取り、早期対応しよう」という強い意志を感じます。
なので、昨今のご時勢でも業績は順調に推移しています。
蛙のいる水槽の水を少しずつ温めると、蛙は環境変化に気がつかず逃げないので、最後は茹だって死んでしまうという話は有名ですが、経営でも同じです。
売上が少しずつ減っていくと、改革を行うキッカケが見つけにくく、気がついたときには首が回らないという事例は少なくないでしょう。
外的変化が少ない中での自己改革は非常に困難だといえます。
ですから、売上が激減してしまった時は、考えようによってはチャンスといえます。
経営を大きく見直すキッカケになるからです。
最近の売上減少は、過去に経験してきた景気循環を原因とするものとは異なり、環境変化で生じていることが多いため、辛抱していても売上が回復してこない事例が増えていますし、バタバタしても結果は好ましくないことの方が多いと思います。
少しバタバタしても結果が思わしくない場合には、いっそのこと短期的な売上回復を諦め、忙しくなくなった時間を利用して、中長期の経営計画をじっくり再考し、必要な経営改革を実行する時期に当てることが得策かと思います。
 ( 2011年 12月 )

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12.よく考えること、深く考え過ぎないこと

よく考えること、深く考え過ぎないこと 経営者には行動的なタイプの方と、慎重なタイプの方がいらっしゃいます。
経営者の書かれた本を読んでも、よく考えることを勧めている書籍と、まずは行動してみることを勧めている書籍がございます。
魚のいない川では、何時間粘ったところで、魚は釣れるはずがありません。
かといって、「どこに魚がいるか分からない」と釣りに行かなければ、いつまでたっても魚は釣れません。
無駄がないよう事前に熟考することも大切ですし、まずは動いてみて、経験の中から成功パターンを見つけていくことも大切だといえます。
最近の経営学では、PDCAが大切だという話をよく聞きます。
まずは計画(Plan)をたて、次にそれを実行(Do)し、結果はキチンと検証(Check)して、必要と思われる改善行動(Action)を起こすということを、継続的に行える体制が望ましいということです。
実際、最近の経営環境は変化が速く、かつ激しいので、変化に対応し続けるためには、PDCAという考え方が不可欠なのかもしれません。
ということで、現在の不景気に負けないよう、普段からよく動いている方は、動き続けた中で得た経験を元に、熟考をしてみてはいかがでしょう。
(抜本的な方針転換の必要性に気が付くかもしれません。)
逆に、慎重に検討を続けてきた方は、何らかの計画に基づいて、徹底的に動き回ってみてはいかがでしょう。
(貴重な情報や取引関係等が得られるかもしれません。)
 ( 2009年 5月 )

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13.賢者は歴史に学ぶ、愚人は経験に学ぶ

経験に学ぶのは愚人。
タイトルに用いた言葉は私が最近はじめて聞いた言葉です。
私は、机上の空論よりも、経験に基づいたものに重きをおいてきたので、その姿勢を愚人と評価されて、一瞬驚きました。
そして腑に落ちないまま、しばらく考え込んでしまったのですが、この言葉は、「経験を大切にしつつも、その上に位置する言葉」だと理解すると、実にいい言葉だと思えるようになりました。
経験の価値を低く見る必要はないでしょう。
経験に基づいた話は説得力もありますし、失敗の経験ですら結構役に立つことが多いはずです。
しかし、歴史を見れば、このようなケースは必ず失敗するという場合、敢えて挑戦して予想通りの失敗を重ねることは、確かに愚人といわれても仕方ありません。
キチンと歴史を学んで、必要以上に失敗しないのが、本当の賢者ということなのでしょう。
歴史に学ぶを、データに学ぶと言い換えてもよいと思います。
私は仕事柄、毎月多くの決算書を見ていますが、ほとんどの会社が赤字体質となっている業態がいくつもあります。
そのような場合、業態を替えない限り利益を出すことは困難です。
そうと分っていても誠意を持って精一杯頑張りつづけ、結局は失敗に終るという経験は、無駄ではなくても、賢者のとる道ではないような気がします。
私も来春で40才になります。
若い時の失敗はまだ得るものが少なくないように思いますが、そろそろ愚人といわれるような失敗は避けていきたいと思います。
歴史やデータに学びながら、広い視野に立って状況を分析し、適時適切に変化に対処していきたいと改めて感じました。
 ( 2007年 10月 )

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14.成功事例に学ぶ

変化を起こす人、変化に対応する人、変化に対応しない人の3つに分類した場合、どのタイプが経営者として有利でしょうか。
まず、変化を起こす人の場合は、とにかく大変です。
変化を起こすには、大きなエネルギーが必要でしょうし、先見性や行動力が伴わないと大失敗してしまう恐れがあります。
その代わり、成功すれば大きな利益が得られる可能性も高くなります。
変化に対応しない人の場合は、変わらないことによる信用や安心感が得られるという効果が期待できます。
しかし、社会のニーズとかけ離れていくことで売上が減少し、更には経営に行きづまる危険性も伴います。
変化に対応する人は、一番無難な選択といえます。
先行して変化を起こしている同業者の情報把握に努め、当該変化が有効であると判断したときには、できるだけ短時間で上手に真似をするという作戦です。
いずれにしても、経営環境の現状把握や将来予測、同業で成功している戦略(業績の良い会社と、そうでない会社の違い)の分析等を十分に行うことは大切です。
そして、必要と思われる変化は、確実に実行する行動力も合わせて大切です。
極めて優秀な経営者であっても、成功事例の見出せないような赤字体質になってしまった業界においては、利益をあげることが困難だと思います。

<補足コメント>
私の場合、会計業界はもとより、コンサルティングを依頼された場合でも、主としてホームページ(HP)を利用して、成功事例等の情報収集をしています。
検索サイトで上位に掲載されるような会社のHPからは、魅力的なキャッチコピーや宣伝文句が簡単に入手できる場合が多く、たいへん参考になります。
逆に、私共のHPも同業者の参考にされているようです。
私共のHPを部分的にそっくりコピーしたHPをもつ地元同業者を見つけた時には笑ってしまいました。
そのHPは今も存在しています。
 ( 2011年 8月 )

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15.出口戦略を検討してみる

ソーシャルネットワークを運営するミクシィが、身売りを検討しているというニュースが流れました。
時価総額は約250億円で、5年前の1割以下になっています。
同業者のFacebookが上場したこともあって、今後の業績はますます苦境に立たされるとの判断があったのだと思います。
今だからいえることですが、身売りの時期は結果として遅すぎました。
株は、買い時より売り時の方が、判断が難しいといいます。
事業でも、進出より撤退の方が難しいでしょう。
不動産でも、手放す時期を見誤ると、多額の損失を抱えてしまいます。
結婚より離婚の方が大変だという話もあります。
話をマイナス方向に進める場合、不利な現実があったり、周りの環境が厳しかったり、また、精神的にもつらい状況になるので、判断も誤り易いと思います。
人は、いつか死にます。
会社でも、業績はいつ傾きだすか分かりません。
可能性は低いかもしれませんが、そのような場合を想定して、マイナス方向の計画を事前に検討しておくことは得策だと思います。
たとえば、保有している株や不動産を処分する、会社の経営権を譲る、廃業する。
そのようなことを有利に進める具体的な計画を、実際に行うかもしれない計画として本気で考えてみると、今まで考えなかったような選択肢が見えてくるかもしれません。

<補足コメント>
M&Aに関するご相談をいただくことは珍しくありません。
売る側からの相談も、買う側からの相談もありますが、M&Aを行いたい理由の大半は、売り側に後継者がいないというものです。
ほとんどが相手を見つけてからの相談案件なのですが、件数の割には、成約にいたる件数が非常に少なくなっています。
案件が破綻になったということではなく、売る側が決断を先送りして、案件が保留になってままだからです。
ミクシィと同じような失敗は、非常にありがちな失敗例なのだと思います。
 ( 2012年 6月 )

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16.最近の業績動向について

仕事柄、「関与先の景気は全般的にどうですか?」という質問を受けることが多々あります。
それに対して、「最悪の時期よりは良くなっていますが、全般的にはまだ良くないです」と最近は回答しています。
続けて、「こんな時期でも良い会社は業績を伸ばしている一方で、悪い会社は一向に良くなる兆しが見られません、つまり、勝ち組VS負け組の区分けがはっきりしてきているように感じます」と補足しています。
業績の良い会社のパターンとしては、@他社には少ない個性的な事業を展開している、Aもともとの取引先に恵まれて利益の出せる仕事を受注している、B社長が精力的に営業して利益の出る仕事を確保している、といった感じが多いと思います。
逆に、「何とかならないかなあ」といった他力本願的な感じで努力している会社の業績は、波はあるものの、トレンドとしては悪化する一方だと感じます。
儲けるためには、儲けられる明確な理由が必須であるように思います。
今まで通りの努力を継続しながら好景気を待つというスタンスではなく、今まで以上に頭を使って、足を使って、心を使って、儲かる理由をキチンと準備することが大切だと感じます。
(機械や部品等の製造業は例外的な業界のようで、待っていたら得意先の業績が好転し、結果として自社の業績もV字回復したという事例が珍しくありません。)

<補足コメント>
私は毎週のように銀行の会議に出席しており、比較的多くの決算書を見る機会に恵まれています。
その中で、赤字体質が継続している会社には、そうそう神風が吹くことがないと実感しています。
そのような会社の業績が回復するには、改善ではなく改革が必要です。
多くの場合は、銀行の強い圧力で、経営陣の顔ぶれが実質的に変わった時に、改革は実行されます。
単なる他力本願ではなく、具体的な誰かを信頼し、全面的に経営を任せるという他力本願は、改革を起こす戦略として一考に値すると思います。
 ( 2012年 7月 )

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17.経営を成功させる秘訣

アベノミクスによる株価上昇とか、東京でのオリンピック開催決定とかで、明るい話題が増えているように感じます。
一方で消費税率アップや諸外国との摩擦等、悲観的な予測も少なくありません。
2014年の景気はどうなるのか、将来を予測することは非常に難しいことです。
さて、よい経営をするにはPDCA(Plan、Do、Check、Action)をうまく回すことが大切だといわれます。
Plan(計画)とCheck(検証)は共に、現状分析や将来予測を行った上で、行動指針を立てることなので、頭を使う行為です。
結果を出している社長は、これが上手なのでしょう。
仕事柄いろいろな社長を見てきて、先がある程度読めているか、読めない中で対応策を模索している社長は、よい業績をあげるケースが多いと感じます。
適当にやっていたけど、結果として上手くいったという社長は、少ないことでしょう。
まずは頭を使ったり、人のアドバイスを聞いたりして、上手く行きそうな計画を立てることが大切です。
Do(徹底的にやる)とAction(変化を起こす)は、一生懸命を継続したり、変化を受入れて決断したりという人の行為です。
この二つは基本的に、自分自身で頑張るしか方法がないように感じます。
いずれにしても、「よく考える→一生懸命に行動する→再度よく考える→あらためて一生懸命に行動する」ということを繰り返し続けるのが、成功の秘訣だと思います。

<補足コメント>
よい計画を立てるためには、事実を客観的に見ることが大切です。
そのためには、日常生活から少し距離を置いた環境に身を置くことが望ましいと思います。
そういった意味で、年末年始は計画を立てるのに望ましい時期だといえるでしょう。
客観的に見るために、社内や業界関係者に限定しないで、いろいろな職歴、年齢、性別の人から意見を聞くことも、よい計画を立てるには有効だと思います。
変革は、「若者、バカ者、よそ者」からという言葉もあるくらいですから。
 ( 2014年 1月 )

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18.アベノミクスはうまくいく?

アベノミクスによって、日本の株価は大きく値上がりしました。
円高解消によって輸出産業は活気を取り戻しそうです。
一方で、ハイパーインフレの危険性等から、日本の将来は危惧されたままです。
この不安定な将来予測に対して、どのような対策をしたらよいかといったことが、よく話題になります。
この問題に正しく回答できるのは神様だけだと思っていますが、私自身は将来を考えるにあたって、二つの視点を重視するように心掛けています。
一つ目は広い視野にたって、将来がどう動いても何とかなるように、リスク分散という判断基準を重視しています。
リスク分散という選択は、万が一のことが生じた時に強い効果を発揮する一方、通常は損をする可能性の方が高い選択だと理解しています。
その損を受け入れてでも、リスク分散には価値があると思っています。
二つ目は狭い視野の話ですが、常に変化をし続けようという意識を大切にしています。
変化のない状態から、急に変化をしようと行動するのは、非常に難しいのではないでしょうか。
人は変化を遠ざけるような遺伝子を持っているからだと思います。
環境が激変した際には、直ちに必要な対応ができないと、その少しの遅れが大きな差となって、結果に出てしまうでしょう。
だから、直ぐに対応できるように、変化への準備をしておくというだけでなく、常に変化をし続けているという意識を持っておくことも必要ではないかと考えています。

<補足コメント>
遠い将来を先読みして、待ち伏せするような戦略はハイリスクです。
将来の潜在的なニーズはあっても、そのニーズが認知されていない状態で製品等を市場に投入すれば、売上は伸びてきません。
その前段階で販売コスト等の負担に耐えられず撤退したビジネスは、過去に多くの事例が見受けられます。
戦略としては、市場に現存しているニーズの少し先を常に走り続けることが、一番強いのではないかと思います。
もっとも、それは非常に難しく大変なことなので、それができる企業ならば、当然に強いのかもしれませんが。
 ( 2013年 5月 )

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19.損益分岐点(CVP)分析と価格交渉について

損益分岐点(CVP)分析と価格交渉について 損益分岐点分析とは、簡単にいうと原価(C:コスト)、受注量(V:ボリューム)、利益(P:プロフィット)の相関関係を把握する財務分析手法の一つです。
たとえば売上高100、原価80、(粗利益20=100-80)、販管費15、営業利益5(=20-15)という会社に対して、この分析をしてみましょう。
この会社が販売価格を10%値引きすると、営業利益は▲5(=90-80-15)となります。
10%値引きしても値引前の利益を獲得しようと思ったら、売上数量を倍(180-160-15=5)にする必要があります。
(倍以上の販売数量が可能なら、10%値引きをしても問題ないのですが、かなり困難でしょう。)
逆に10%の値上げをすると、利益は3倍になります(110-80-15=15)。
この場合には販売数量が33%減少しても、値上前の利益を得ることが出来ます。
(販売数量の減少が33%以下に抑えられるなら、値上げをした方が得ということです。)
価格設定の増減10%で結果は大きく異なります。
10%の価格交渉は非現実的に感じるかもしれませんが、約3%の交渉が3回分で達成される数字です。
金利だけで取引銀行を変更しない会社が珍しくないように、商品やサービスの単価が市場競争によって一律に決まるということは、現実的にはむしろ少ないように思います。
競合他者との実力差もさることながら、強気で価格交渉をしてきた会社が儲かり、失注を恐れて弱気に交渉し続けた会社が赤字体質になっていることが多いように思います。

<補足コメント>
ご相談いただく事業再生コンサルの対象先は、コストの削減だけでは黒字化が困難な場合がほとんどです。
販売数量が多少増える程度では黒字化できない会社も珍しくありません。
つまり、価格設定もアップさせないと黒字化が難しいのですが、今までと同じ商品で単に値上げをすることは、実に難しいと思います。
今までの価格が交渉のスタートになるからです。
急激な価格変更も理解が得られにくいでしょう。
価格交渉は非常に大切です。
とくに最初が肝心です。
あと、弱気にならない交渉を継続し続けることも大切です。
 ( 2009年 7月 )

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20.変化の先頭に立つ

リクルートという会社は、OBに何人もの上場企業社長がいるなど、起業家精神を育てる人材輩出企業として定評があります。
その秘密を理解したくて、リクルート創業者である江副氏が最近記したばかりの「リクルートのDNA」という書籍を読みました。
人材を輩出しうる企業文化は、こうしたリーダーの価値観、能力や成功の経緯等から生じるのかと、感心することもさることながら、個人的にはリクルートの失敗に関する部分に対して強い刺激を受けました。
不動産情報のオンライン事業や、第二種電気通信事業、電話事業など、今では大きな成功を収めた事業者がある一方で、リクルートはそれらに対していち早くかつ強力に行動したにも関わらず、成功できなかったのです。
情報収集をしつつ時代の流れを読んで、変化に対応することは大切でしょう。
しかし、どうやら対応が早過ぎても失敗するようです。
江副氏はこれらの失敗に対して、ドラッガーの言葉を借りて「変化をコントロールすることはできない。
できるのは先頭に立つことだけである」とコメントしています。
私は最近、将来予測に強い関心を持っていたのですが、その理由は「将来勝ち組でいられるに、将来予測を徹底し、先回りしてその状況を確立しておきたい」というものでした。
しかし、この本を読んだことで、「対応が早すぎても失敗するので、先回りはできない」、という答えに辿り着いたような気がします。
先回りできれば楽ができると思っていたのですが、そんなうまい話はないようです。
苦しくても常に最善を尽くして、変化の先頭に立ち続ける努力を継続しないといけないと思いました。

<補足コメント>
「10年後の日本」という文春新書によると、少子高齢化、所得格差、治安悪化、インフラの老朽化、地方自治体の破綻、年金崩壊、フリーターやひきこもり、離婚ラッシュ、地球温暖化、大震災の発生、感染症の大流行などなど、それはそれは暗い将来の予測が、説得力をもって記述されています。
これほどまでに最悪の予想をしてもらえると、かえって事前の対策なんて無理だと諦めがつくような代物です。
目の前にある課題に対して、少し先を見通しながら、絶えず変化の先頭に立つ努力をしようと思ったのは、実はこんな書籍にも影響されています。
 ( 2007年 4月 )


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